晴樹は私が泣き止んだのを見ると後ろに回していた左手を出す。

持っていたのは赤いチューリップの花。



「これあげる、紫」




「晴樹ー!!早く来なさい!遅れちゃうわよっ」

そんなおばさんの言葉に晴樹は「はーい」と返してもう一度私を見つめる。




ピルルルル・・




ホームに鳴り響いたその音が晴樹との別れを意味していた。


「は・・・はる・・「紫」」





もう一度泣き出しそうな私に晴樹はゆっくりと言った。




「好きだよ」



そう言うとくるりと後ろを向いて新幹線に入って行った。