恋愛日和    after story omnibus

『疲れた?』


「うん‥‥力が入らない」


『ごめん‥‥怒ってる?』


私の髪を乾かしてくれながらも謝る
姿に、先ほどまでの行為が思い出され
顔が熱くなる


付き合いたての頃なんてしなかった
あんな事やこんな事に翻弄され、
恥ずかしい体勢に慣れなくて、いつも
されるがままだもん‥‥


「怒ってないよ‥‥
 ‥‥き、気持ちよかったです。」


私が真っ赤になりながらも答える姿に
クスクス笑われてしまったけど、
次の日もまたその次の日も抱かれ、
仕事の遅れを心配したのにも関わらず
瀬木さんは仕事が逆に捗ったようだ



「帰りたいけど、なんか居心地が
 良すぎてここがお家みたい‥」


最終日、荷物を纏め終えると、
最後に砂浜を手を繋いで散歩する事に
した


都内には都内の良いところもあるけど、
時間の流れがゆったりと感じるここは、
軽井沢とはまた違った魅力がある


「隼人君」


『ん?なに?」


「連れてきてくれてありがとう‥。
 ほんとは忙しいのに無理して来てる
 のも知ってるけど‥‥楽しかった。」


隣を歩く隼人君を見上げると、
ゆっくり近づいて来た顔に目を閉じ
唇を塞がれる


波の音だけが聞こえるこの場所に
いつかまた2人で訪れたいな‥‥。



『また来よう‥‥2人でもいいし、
 ‥3人になってるかもしれないね。』


えっ?


優しく笑ったその顔が、初めて見た時の
ような優しい顔で、懐かしさに微笑むと
もう一度唇が塞がれた


先のことなんてまだ分からないけど、
その時隣を歩くのは隼人君がいい。


そして隼人君の隣を歩くのもまた
私でありたい。


「今度は和木さんたちも誘う?」


『無理。』


どす黒いオーラを出す隼人君にも
もう慣れた。最初は別人かと思った
けど、どうやら私にだけ見せるこの
顔が和木さんたちからしたらレアらしい


「あっ、またシーグラス!!
 そうだ!お土産見に行かないと!」





END