恋愛日和    after story omnibus

飛行機からも沢山見たし、お部屋からも
眺めてるだけでも気持ちがリラックス
する海の景色を沢山堪能したい


「日焼け止めだけもう一度塗っていい?
 すぐ赤くなっちゃうから。」


薄いカーディガンは羽織るものの、
念の為出ているところは塗らないと
肌が大変なことになってしまう


『貸して‥うしろ塗ってあげるから。』


えっ?


椅子に座らされると、背中に隼人君の
少し冷たい掌が触れて体がハネる。


「うしろはいいよ‥羽織るから‥ん」


ホルターネックをするりと外され、
服が落ちないように胸元を押さえると、
手ではなく背中に感じた感触に体が
反応してしまう


『可愛い‥‥』


「やっ‥‥なんでそんなとこ舐めるの?
 は、隼人君!!」


涙目で訴えると、クスクスと笑った
隼人君が私のオデコにキスを落とした


『ごめん‥‥可愛いから‥つい。
 ちゃんと塗るからもう一度座って?』


急にスイッチがいつも入るから、
本当に油断ならない‥‥


こんなガラス張りだと誰が見てるか
分からないのに‥‥


隼人君は顔と首元だけ日焼け止め
スプレーをかけると、パーカーを羽織り
サングラスをかけていた。


カッコいい‥‥


普段家で仕事する事が多いし、
あまり外にいるイメージがないから、
日の下で見られる貴重な姿が新鮮で
ドキドキしてしまう


少し長めの黒髪に高身長、
バランスの取れた顔立ちだけでも
側にいるのが眩しいのはあの当時から
ずっと変わらない。


日傘をさして海沿いを2人で歩き、
初めての海に緊張しつつも素足で
海沿いに立ってみた


これが波の感覚なんだ‥‥不思議‥‥


ふふ‥冷たくて気持ちいい‥‥


隼人君はというと、砂浜の砂を触ったり
落ちている貝殻を手に取っては小説の
材料集めをしている


「これって珊瑚?」


白い砂浜の何処を見ても沢山落ちている
小さな破片のような珊瑚を手に取る。


『ああ、珊瑚の死骸と言われてるけど
 可愛いし綺麗でしょ?
 持ち帰る事は違法だから残念
 だけど仕方ないね。』


死骸なんて‥‥
そんな風に思えないほど確かに可愛いし、一つひとつ形が違うから面白い


「隼人君これは?」


見つけた薄い緑色の石のようなものを
見せると隼人君が私の隣に座った。