何が起こったのか、わからなかった。 ただわかるのは、見開いた瞳に映るシンさんのドアップと唇に伝わる温かい感触だけ。 やがて、それがキスだと気付いた時に、あたしの脳裏にある男の顔が浮かび上がり、猛烈な吐き気に襲われた。 いつかのようにシンさんを押し返し、車から飛び出したあたしは近くに座り込み、やはり吐いた。 辺りに漂うツーンとした臭い匂いで、より一層吐き気が酷くなった。 もう一度吐くかも――……。 そう思ったとき、背中が温かい何かで摩られた。 「大丈夫か?」