一応お礼を言って車からそそくさと出るためドアを開けようとしたら、助手席のシートの上に残っていた右手首をシンさんに掴まれた。 ドキリとあたしの心臓が跳ねる。 「な、何?シンさん」 僅かに顔を運転席の方に向けると、睨むかのように真剣な眼差しと眸が合って、あたしは動けなくなってしまった。 「いい加減な気持ちで彼氏になるって言ったわけじゃないから。だから、これからは毎日俺が送り迎えするから」 「え」 バイトがある日は毎日? どうしてそこまでしてくれるの?