キスまでの距離



料理を置いてすぐにその場から去ろうとしたのだが、何故か手首を掴まれてしまい、動けない。



「お客様……?」


あたしは怒りを必死に押し隠しながら笑顔を向けた。


こういう無遠慮な男には、怖さよりも怒りがまず浮かぶ。



つねに強気に。


それが男達の中で生き抜くために身に付けた処世術だ。


「君可愛いね〜!携帯番号教えてよ」


「……それはちょっと……困ります」


男に教えるなんて考えられない。しかし、その男も周りの男もしつこい。