「は?」 こういうのを素っ頓狂な声って言うんだろうな、なんてて考えてしまうほど、あたしの頭はやけに冷静だった。 あんまり予想外のことを言われると逆に冷静になれるのかもしれない。 「お礼にキスして」 語尾にハートマークが付きそうな程の甘い声をシンさんは出した。 男の人でもこんな声を出せるんだと、変に感心してしまう。 あたしは何を言われたか理解していなかったと思う。 理解していたら、あたしはそんな悠長なこと考えられなかったはずだ。