あたしは真っ赤な顔で叫んだ。


運転しながらキスするなんて、信じられない。



「はいはい」



シンさんは笑いながら、前に視線を戻した。


笑い事じゃないのに、とあたしは頬をぷくっと膨らませた。




本当はもっと怒りたい。



でもね、おかげでスッカリ緊張が取れたあたしは怒れない。


きっとシンさんはあたしの緊張をほぐすためにわざとやっているから。






車は、一路通い慣れた胡蝶へと向かっていた。