そもそも、ハル以外の男に安心したのは初めてのことで、あたしは少し戸惑ってしまった。



寝返りをうって、顔だけでなく体ごとシンさんの方を向いてみる。




すると、予想以上に自分の顔がシンさんの顔に近くなった。


なんだかキスできそうな距離――……。



意識すると、シンさんの長い睫毛よりも何よりも、シンさんの薄い唇に目がいってしまう。



男とキスなんて出来ないはずの自分がそんなことを考えたという事実が信じられなくて、思わずシンさんの手を離して跳び起きてしまった。



男性恐怖症は治したいと思う。


だが、それと同時に治ってしまうことにも恐怖を感じてしまう。