美佐とあれこれ話しながら歩き、やがて胡蝶の前にたどり着いた。 よほど運が悪くない限り、社員のシンさんはいるはず。 社員さんはバイトと違って休みが少ないのだから。 あたしは複雑な面持ちで、少し前まで見慣れていたはずの建物を見上げた。 「唯ちゃん、早くしないと夜のオープンの時間になっちゃうよ?」 痺れを切らしたように美佐に言われ、あたしは携帯で時刻を確認する。 ―――16時半。 早くしないと、話をする時間がなくなる。