「シンさん、すみません。コイツはそんな風にきつく言われると、何も言えなくなるんです」


まだ側に居てくれていたハルが再び助けてくれる。



そんなハルを見て、シンさんはようやくあたしの異変に気付いてくれたらしい。


とはいえ、この時のあたしは完全にパニックを起こしていて、シンさんの様子なんて全くわかっていなかったんだけど。


「おい……、森永……?」


恐る恐る伸びてくる手に、あたしはビクッと体をより一層震わした。


ガチガチとあたしの歯と歯のぶつかる音だけが、すっかり静まり返ってしまった室内に響く。


一歩外に出れば、お客様や従業員の喧騒で騒がしいのに、ここだけまるで別世界になってしまったようだ。