実際にもう何年もあの男が現れることはなかったから、会うことはないだろうと安心しきっていたのに――……。



「じゃあ、おまえが男性恐怖症になったのもそのせいか?」


「あ、ううん。正確には違」



顔を上げて否定しようとしたが、突然チャイムの音が響き渡り、その音に遮られてしまった。



「……こんな時間に誰だ?」


シンさんが眉間に皺を寄せながら、玄関に向かった。


今日の私のバイトは高校生だから22時まで。


それに対してシンさんはラストまでだった。と言っても22時閉店だから22時半頃終わる。