本当は何もしないつもりだった。
はるか遠くにいる充希と近づくことなんて
この先、絶対にないと思っていた。
人生にはタイミングがあって、
それをきっと俺は逃した。
だからこの思いは封印すべきなんだ、
そう思って数年過ごしていた。
……なのに、充希は俺の前に笑顔で現れた。
ずっと封印していたはずのパンドラの箱は
いとも簡単に再び開いて、中身があふれ出てくる。
責任取ってほしい、なんて無責任なことを思う。
飲み会の帰り道、酔った思考回路でアルバムをみる。
休日に写真を撮ることなんてほとんどないのに、
充希といるとカメラロールが賑やかになる。
紅葉、どんぐり、はしゃぐ背中、二人の写真、
ゲームに真剣な横顔、変な形の野菜……。
染められていく感覚とはこういうものなのだろうか。
