酸いも甘いも毒までぜんぶ

「ウチ、来る?」

「え、いいんですか…」

 思わぬ申し出に舞い上がりそうになるのを堪えながら、彼の顔を覗き込む。

「いいよ。俺ひとり暮らしだし、部屋いっぱい余ってるから」

 そ、それはそれでどうなんだ…?

 でも、泊めてくれるっていうのは、今の私にとって渡りに船。

 非常にありがたい。

「でも、私なんにも持ってないよ。家事はそこそこ出来るけど」

「じゃあ、住み込み家政婦っていうのはどう?」

 いいことを思いついたとでも言うように、私の眼前に差し出されていた手をポンとうつ。

「そ、れなら、ありがたく行かせていただきたいです」

「じゃ、帰ろうか。荷物とか大丈夫?」

「う、うん。一応全部持ってる」

 帰ろうという言葉が心に沁みる。

 やば、泣きそう。