夢の向こうにキミがいる



それは七年前に遡る。



勇介が14歳を迎えた冬―



家族でささやかだが幸せなクリスマスを祝った翌朝のことだった。



父は水色のリボンを首に巻いたテディベアのぬいぐるみを妹の枕元に残し、母が子供達の将来のためにと内職で貯めたわずかばかりの貯金通帳を持って、突然姿を消した。



母は勇介にだけは真実を話したが、まだ小学校に上がったばかりの娘には「お父さんはお仕事でしばらく帰れないからね」と嘘をついた。



「お父さん、どんなお土産買ってきてくれるのかなぁ」と指折り数えて父の帰りを待っている無邪気な妹の笑顔が勇介の胸を刺した。



今まで父に対して抱いていた漠然とした侮蔑の念は、行き場のない激しい怒りとなって勇介を翻弄した。



そして、それはやがて冷やかではあるが、確かな憎悪へと姿を変えていくことになる。