泣き声がだんだん小さくなる。
幼い妹は兄の大きな背中に顔を埋めるようにして、寝息を立て始めた。
背中の重みがどんどん増してくる。
まるで、もののけにでもとりつかれたような息苦しさで、ハッと目が覚めた。
智美!
ガバッと上半身を起こした勇介は、ようやくそれが夢であることに気づいた。
「クソッ」
勇介は右手の拳をベットに叩きつけた。
「う、う…ん」
艶かしい女の声がシーツの中でうごめいた。
まだ半分眠っている頭の中で、昨夜の出来事がフラッシュバックで甦る。
乾いた心を重ね、互いの虚しさを感じ合うことで、激しく昇りつめてゆく二人。
熱い昂りが弾ける瞬間、彼女の顔に真中美里の顔が重なった。
勇介は思わず頭を振った。
忘れかけていた過去の傷を思い出すのは、やはり彼女のせいかもしれない。
