夢の向こうにキミがいる



勇介の問いかけには応えず、美里は遠くに見える中央案内所の明かりを睨みつけるように歩き出した。



漆黒の空にフワリフワリ舞い上がってゆきそうな心をなんとか繋ぎ留めているのは、彼女のなけなしのプライドだけだった。



ヒュルルル、ドーン。



遊園地のラストショーを告げる花火が上がり始めた。



誰もが足を止め、天を仰いでは無邪気に歓声を上げているが、美里は決して立ち止まることなく、雑踏の中をただ一人歩き続けた。



井ノ原くんのバカ…



わたしのバカ、大バカ…。



ポンポンポンと花火の弾弾ける音が、心の空洞に虚しく響く。



少女時代のたった一つの大切な想い出は、夜空を彩る光とともに砕けて闇に散った。