夢の向こうにキミがいる



「あ…わたしに?」



恐る恐る手を差し出した美里に、ピエロは頷くような、首を傾げるような曖昧な笑みを浮かべ、やがて闇の中へ吸い込まれるように消えて行った。



パレードの喧騒が一段落ついた時、美里はようやく自分が一人はぐれてしまった事に気がついた。



わたし、いったい何やってんだろ。



近くにあったベンチにドスンと腰を下ろした美里は、星の見えない空を仰いで呟いた。



一人でときめいて、一人で怒って、一人で落ち込んで…



バッカみたい。



そんな美里の前を何組もの、何十組ものカップルが通り過ぎて過ぎていく。



美里はもう何も感じなくなっていた。



彼らの笑い声も、話し声も、靴音も…



時間が流れていくように、ただ美里の前を通り過ぎていくだけだ。