勇介は梨花子の言葉を適当に聞き流すと、モスグリーンの濃淡柄に墨汁を巻き散らしたような渋いアロハシャツの胸ポケットをまさぐった。
煙草をくわえ、火をつける。
ただ、それだけの仕草にも男の色香が匂い立つ。
浅黒い肌に、憂いを帯びた深い眼差し。
鋭角に切れ上がった顎のライン。
そして、ときおり見せる力の抜けた微笑み。
初恋の人に再会してガッカリしたという話はよく聞くが、勇介の場合はまさに逆。
十代半ばの少年が持つナイフのような危うさを残しつつ、得体の知れないナイーブさだけが逞しさへと姿を変え、ドキドキするようないい男に変貌を遂げていた。
