困り果てて頭をポリポリかいた時、 「…ああ!あの時の?」 警戒していた彼女の顔に、見る見る安堵の表情が広がっていく。 そしてこの笑顔。 賢が夢にまで見た笑顔だ。 「はい!」 肉の薄い賢の顔も笑顔で皺クシャになった。 「ごめんなさい。ほら、白衣なんか着てるから、わかんなかった… あの時はありがとう。 あいつ、あれからパッタリ来なくなって、ほんと、助かってます」 「そうっすか。よかった…」 そこでいったん会話は途切れた。 もう、これ以上話す事など思いつかない。