夢の向こうにキミがいる



毎日のように彼女の笑顔を胸に抱きつつも、これといった行動に移すこともできず、ただいたずらに日々は過ぎた。



社学への歩道橋を見上げる度に、彼女に会いたいという衝動が突き上げる。



今日こそは、と勇気を振り絞って昇ってみるのだが、女の子の笑い声を耳にする度に、それが自分に向けられた嘲笑のように聴こえ、いたたまれなくなって結局途中で引き返してしまう。



いつもいつも、その繰り返し。



薄暗い研究室を這いずり回るゴキブリのような理学部の学生にとって、社学のキャンパスは蝶の舞う花園だった。



外車で乗りつけ、まるでテレビタレントのように軽快で気のきいたトークを乱射する男子学生。



グラビアアイドル並みのスタイルと過激なファッションでキャンパスを闊歩する女子学生。



もちろん、全部が全部そういう学生ばかりではないのだが、賢のような闖入者には、華やかな所ばかりが目についてしまう。



あの時は彼女に腕を取られ、勢いでついて行ったが、一人ではとても足を踏み入れられる場所ではない。