その時だった。
瑛子の仮面が剥がれ落ち、その目から大きな雫が溢れ出した。
瑛子…
勇介はカップを置いて立ち上がり、瑛子の肩に手を置いた。
口に出してかけてやれる言葉は何も見つからなかった。
瑛子は泣き続けた。
顔を歪め、からだを震わせ、何年もの間溜めていた涙を吐き出しているかのように。
「…助けたいの」
地の底から呻くような声だった。
「あの時、誰も助けてくれなかった。だから、今、あたしが、あの時のあたしを…」
込み上げる嗚咽に喉を詰まらせながら「助けたいの」を繰り返す瑛子。
勇介は瑛子を後ろから抱きしめた。
「もういい。わかったよ」
「あんたなんかにわかんないわよ!」
瑛子は勇介の腕を振り解くと、両手で顔を覆い、子供のようにわっと泣きじゃくった。
