「…ってそれ、心臓やないか」
二人の会話より、十数年前のトレンディドラマの再放送に見入っていたはずの修司が、聞いた風に口を挟んだ。
「まぁ、考えられるのは胸の外側なら肋間神経痛、奥の方なら狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全…ってとこかな」
「何や、聞いとんか。しゃあけど、おまえ、やけに詳しいな」
「こう見えても一時は医学部目指してたからな…はははっ、親がね。
つーか、火サス『外科医高林冴子』の受け売りでね」
「けっ」
男やったらが口癖のハルさんは、修司のそういう所―無関心を装って実はちゃんと聞き耳を立てている所、加えて隠れドラマ好きな所、ついでに長髪も気にくわない。
「循環器系に問題がないとしたら呼吸器系。もしくは神経症、心身症…あるいは…恋」
「な、何やて?!こ…い…?」
ハルさんの顔が、たっぷり五秒はフリーズした。
