「何や、それだけやないんか」
ハルさんはグラスに三杯分麦茶を注ぎ、縁の焼け焦げたプラスチックのトレーに載せて六畳間に入ってきた。
自分は吸わないのに、ヘビースモーカー・修司のために灰皿まで添えてある。
この男、見かけによらず案外マメである。
「どっか痛いとか、重いとか、症状あんのか?」
いつまでもだんまりを決め込んでいる賢に、ついにハルさんがぶち切れた。
「何やねん!グダグダしてんと男やったらハッキリせー!」
「ここんとこが苦しいっていうか、重いっていうか…」
賢は右手で左胸の辺りをギュッと押さえた。
