「あっれぇ…。美里さんに何も言うてへんかったんかいな。あいつ、これ、ただの忘れもんみたいに軽う言うとったから」
と、強張った面持ちの美里に一通の封筒をおずおずと差し出す。
「俺…ほんま何も知らんかって…」
ハルさんは大きな図体をエビのように二つに折り曲げ、それきり黙ってしまった。
「あ、ハルさん…」
ハルさんを責めるつもりなんてない。
そんなのお門違いだとわかっている。
それでもこの行き場のない気持を、驚きを、戸惑いを、取り敢えず目の前にいる男に向けるしかなかったのだ。
「こっちこそ…ごめんなさいね」
美里は封筒を受け取ると、それ以上ねぎらいの言葉をかける余裕もなく、お礼もそこそこにその場を立ち去った。
