「それで…」
それで亜弓は自分を犠牲にして、大好きな母親と弟を父親から解放してやったのだ。
「あの子もつっぱってたけど、心の優しい子なんだよぉ。何であの子ばかりが…ほんと、母親もバカだよ」
おばさんはズズッと鼻をすすった。
亜弓ちゃん、今頃どうしてるんだろう。
あの遠い目は、今、何を見てるんだろう。
胸が痛かった。
勇介や瑛子の痛みまでも折り重なって伝わってくる。
会いたい。
どうしても会いたい。
でも、そんな彼女に会って、いったいわたしに何ができるというのだ。
ついさっきまで、恋や将来の悩みを聞いてもらおうとしていた、お気楽な女子大生にだ。
