「取り敢えず大阪へ行って、日雇い労働をね。
何も考えられないくらい、からだを痛めつけたかったから。
でも、そんな仕事にも慣れてくると、やっぱりいろいろ考えてしまう。
毎日毎日重い荷物担ぎながら考えた。
何で俺はここにいるんだ。
俺の存在価値って何なんだろうってね。
あの時…おまえ、言ったよな」
「え?」
「あなたはいつも大事なものから逃げるのね…って」
確かに覚えていたが、美里は言葉を濁した。
「言った、かな…」
「あの時はわからなかった。
だけど…おまえの言う通りだった。
俺はいつも一番大事なものから逃げていた。
どうでもいいものには強気になれるのに、本当に大事なものは…失うのが怖かった。
