夢の向こうにキミがいる



勇介に連れられるまま、後に続く。



裏門通りを抜け、西へ歩くこと十数分。



閑静な住宅街の舗道にケヤキの大木が忽然と姿を現した。



まるで箒を逆さにおっ立てたような見事なシルエットに美里が目を取られている間にも、勇介は歩幅を緩めることなく、裏手の辻へと入っていく。



「ちょっと待って…」



勇介が扉を開けたのは、アイビーが絡まる白い漆喰壁に『R.grey』と小さな英文字がペイントされただけの、さりげない佇まいの店。



しかし、一歩足を踏み入れると、食器やカトラリーの立てる音、客の話し声が古い映画音楽のサントラ盤に乗って賑やかに流れ出した。



ざっと見渡した所、学生らしき姿は見当たらない。



ほとんどは暇に任せた主婦の集まりで、話題の中心は子供の教育、人気のダイエット法、そして韓流ドラマ…



そこに広がるのは屈託のない明るい日常の風景。