「よう」
勇介はこともなげにそう言った。
その落ち着き払った態度が美里の神経を逆撫でした。
「よう…って。よくもそんな平然と」
美里は呆気に取られている友人をその場に残し、スロープを一人駆け降りた。
「ちょっ、待てよ」
勇介はすぐに追いついて、美里の肩に手をかけたが、美里はその手を振り払ってずんずん進んだ。
「話がある」
「こっちにはないわ」
「おまえが言いたいことはわかってる。俺を許せない気持もわかる。でも、どうしても話しておきたいことがあるんだ」
美里はふと立ち止まり、振り返り様に冷ややかに言い放った。
「今日が誕生日だから?一緒に祝ってくれとでも?」
「え?」
精一杯の皮肉のつもりだったが、勇介には通じなかった。
「あ…別に覚えてたわけじゃ…今朝、たまたま、手帳を…」
