勇介は気を取り直そうと、コーヒーをもう一口啜った。
こんなことで熱くなっているのは心外だった。
それでも勇介は平常心を取り戻すことができなかった。
残ったコーヒーを一気に飲み干すと、軽い吐き気がした。
勇介はベッドから降り、その辺に脱ぎ捨ててあったジーンズに足を突っ込んだ。
「あら、もうお帰り?」
瑛子は煙草を吹かしながら、振り向きもせずに言った。
鏡に映る瑛子の顔には表情がない。
仮面の裏で、目の奥だけが勇介の心の中を見透かすように笑っている。
勇介は黙ってTシャツを被り、アパートのドアを蹴破るような勢いで外へ出た。
いったい何だって言うんだ。
何であいつのこととなると、俺は冷静じゃいられなくなるんだ!?
