駅のホームを行き交う人が皆、こちらを振り返っては、うんざりとした顔で通り過ぎる。



その気持が美里にはよくわかる。



美里は本来、そちら側の人間なのだ。



電車の中で、遠足行きの小学生の団体が自分の車輌の前に並んでいるのを見つけると、ものすごく憂鬱になってしまう。



いや、まだその時は何駅かの我慢で済んだが、まさか自分が引率していく立場になるなんて。



「違う違う、そんなんじゃない。お友達だって」



賢が一生懸命言い訳すればするほど、子供達はますます面白がって騒ぎ立てる。



「あっ、賢ちゃん、顔真っ赤!」



「エロいって~」



「チューしてんの~?」



「イヤ~ン、アイ~ン」



誰かが一言発する度に大爆笑が巻き起こる。



全然面白くない!



美里は片頬をピクピク引きつらせた。



「おまえら、バカか」



賢は先頭切って騒いでいる男の子の頭に軽くゲンコツを食らわせ、なんとか美里の機嫌を取りなそうと作り笑いを浮かべたが、美里は無視した。