「話がある。ちょっと真中を借りるぞ」
一瞬の早業だった。
勇介はまるでジグソーパズルのワンピースを剥ぎ取るように、美里の片手をぐいと引っ張ると、あっという間に人だかりの中へと紛れ込んだ。
「ちょっと、何?痛い。井ノ原くん?!」
みんなに見られているという理性が美里にそう叫ばせた。
どうしたの?いったい何が起こったの?という素直な疑問、驚きと戸惑いで頭の中が混乱している。
そして同時に、そんなすべてが吹っ飛んでしまうくらい力づくで連れ去ってほしいという衝動が、からだの奥から突き上げていた。
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