「あの井ノ原だぞ。間違うわけないよ」 元野球部の一言が、じびじびとくすぶり続けた美里の心に火をつけた。 井ノ原くんだ。 そうだ。 井ノ原くんに似た人なんて、そうそういるもんじゃない。 そうよ。あれは絶対… でも、どうして?どうしてここに? まさか…わたしに… 美里は思わず頭を振った。 バカな。 打ち消しても打ち消しても消えない勇介の後ろ姿。 違う、違う違う…違う! ジリジリと音を立てて燃え広がっていく熱い想いを振っ切るように顔を上げた時、ユウコが叫んだ。 「あっ、井ノ原くん!」