夢の向こうにキミがいる



井ノ原…くん?



「美里、行くよ」



雪絵に背中を押され、はっと我に戻った。



バッカね。



こんな所にいるわけないじゃない。



井ノ原くんから逃げ出したい一心でここまで来たのに。



通りを行く人にまで彼を重ねてしまうなんて…





点滅している青信号を急いで渡り、ようやく神社の境内に足を踏み入れた。



たこ焼き、とうもろこし、りんご飴、金魚すくいにヨーヨー釣り…



食欲をそそる夜店の挑発的な匂いと色、人々のむせ返るような熱気。



懐かしい時代にワープしたような、どこか知らないアジアの国に迷い込んだような不思議な感覚が美里のかたくなな心を少しずつ溶かし始める。