夢の向こうにキミがいる



「早まったかなぁ~」



ユウコはだらしなく鼻の下を伸ばしているヒロシの後頭部を小突きながら、雪絵に向かって声を潜めた。



「ところで、例の件だけど…」



「ああ、それね…」



地元の話となると、美里は途端に蚊帳の外になる。



ちょっと寂しい気もするが、その分彼女らの知らない世界が美里にはあるのだから仕方のないことだ。



興味のない素振りで視線をあらぬ方へと向けた時、



あ…



信号が青になり、横断歩道を渡っていく人の群れの中の一点に、美里の目は吸い込まれていった。



頭一つ出た長身の男。



髪の流れ具合、広い肩幅、少し投げやりな歩き方…



その後ろ姿に見覚えがあった。