「えっ?」



「男でしょ。ま、せいぜい三角関係のもつれってとこ?」



す、鋭い…。



「お正月に帰ってきた時は、さっぱり色気なかったもん。

何か急にきれいになってさ。女の園にいるから、その辺は敏感なのよね。

あー、わたしも東京行けばよかったなぁ」



そもそも、東京の大学を一緒に受験しようと言い出したのは雪絵の方だった。



しかし、由緒ある造り酒屋の一人娘で、幼い頃から近所でも評判の美少女だった雪絵を両親が手放すわけがない。



病気がちな母の涙ながらの懇願に、泣く泣く金沢一のお嬢様短大に進み、今春からは信用金庫にお勤めしている―というわけだ。