「すみません!!遅れました!」
私は深々と頭を下げる。

「おい凛!おせぇよ!」
彼は深木優。
明るい性格で、運動神経もよく整った顔立ちをしているから、女子から人気がある。


凛とは私、橘凛のこと。
高校二年で、今は兄との二人暮らし。
両親は海外で仕事をしている。
ちなみに、優とは幼稚園からの幼なじみ。


「おい・・・橘は最近遅刻が多いんじゃないか?」
キャプテン兼部長の守屋さんが険しい顔で近づいてきた。

「ごめんなさい。」
思わず泣きそうになる。いじめのことを言いたくなる。
だけど彼らに迷惑をかける訳にはいかないと、私は拳に力を入れる。