「たしかに綺麗だけどさ。なんか儚いっつうか、似てると思わねえ? 人間に」
そう言って、真っ直ぐに私の瞳を射抜いた中原の瞳は微かに揺れているように見えた。
今日の中原は、やっぱりヘンだ。
普段、そんなことを絶対言わないくせに。
「たしかに、似てるかも、ね」
だけど、不思議と冷やかして笑うような気持ちは湧いてこず、静かに頷いて同調した。
くすぶっていたかと思えば、いつのまにか花開きあっけなく散りゆく。その姿は、人間に見えなくもなかった。
「だろ? たぶん、人間に――――人生に、似てるから、人は線香花火に惹かれるんだ」
似た者同士は惹かれ合うって言うじゃん?
同じことなんだよ、きっと。
いつも茶化してばかりの中原が、急にそういう哲学的なことを言うから、妙に納得させられてしまった。たしかに、そういうことなのかもしれない。
ふいに中原が黙り込んで、私も話題を見つけられずに黙り込む。
しばらく沈黙のまま花火を消費し続けていると、中原が突然口を開いた。
「なあ、広瀬は進路どうすんの」
「え……?」
「だから、進路」
中原って、こんなに突拍子もないことばかり、言う人だっただろうか。
どうして急に進路の話なんて持ち出して来たんだろう と思いながらも、頭の中からその質問に対する答えを探した。
「国公立、かな」



