「またね!」
中原の背中に叫ぶ。できる限りの大声で。
一瞬振り返った中原は、驚いたような顔をして、それから。
「おう!」
ニカッと私がいちばん好きだった笑顔を惜しげもなく晒して、遠ざかっていく。
寂しくない。哀しくない。
そんなこと思ってなんかやらない。
目の端に滲んだなにかには気づかないふりをして、私も中原を真似して口角を上げて。
「まずは、パパの説得から始めるかな」
呟いて、くるりと中原に背中を向けた。
顔を上げて前を見る。もう振り向かないし、立ち尽くしている暇だってない。
だって、もう夏が終わる。



