諦めんな。
「何のこと?」なんてとぼけたって無駄だ。
ねえ、もしかして。
中原が今日、あえて私を誘ったのは、たったひとこと、これを言うためだったのか。
そう考えると、腑に落ちた。
『卒業したら服飾の勉強ができる、専門学校に行くの』
――――ほんとうは、中原がグラウンドを駆けるときに見せる真っ直ぐな瞳の正体を、私はずいぶん昔からよく知っている。
だって、私も、少し前まではその真っ直ぐな瞳を持っていた。
それなのに、いつから、中原が羨ましいと思うようになったんだろう。
羨ましさがいつの間にかすり替わって、自分の光を諦める代わりに、中原が光を追いかける姿に自分を重ねていた。
――――私と中原はよく似ている。
だから、きみが発する言葉のひとつひとつが重くて、痛い。
「……っ」
諦めたくなんて、ないよ。
ほんとうはずっと、諦めてなんかない。
幼い頃に魅せられたその光をずっと追っていたかった。描いた未来は現実に変わらなかったとしても、辿り着くために必死になってみたかった。
中原の言葉で、久しぶりに思い出した。
ねえ。
「……いいのかな」
なにも考えないで、自分の気持ちにだけ正直になっても。もう一度、光を追いかけても。
「お前なら、大丈夫だ。俺が保証してやる」



