閃光花火



今年に入って、二年になった中原は部員数も多い野球部のなかで上級生を差し置いてスタメンに選出されるまでにもなっていた。



そして始まった先月の夏の県予選。
さすがは強豪校。ベスト4まではとんとん拍子に勝ち進み、決勝への進出も接戦の末に勝ち取った。


だけど惜しくも、我が校は全国大会まであと一歩の決勝戦で敗退した。



――――その決勝戦は、友達に誘われて私も球場で観戦していた。


野球には少しも興味がなくて、ルールも全然わからなくて、てっきり退屈するのだとばかり思っていたけれど、いざ試合が始まるとそんなことは全くなかった。


最初から最後まで一瞬たりとも目が離せなかった。




『……すごかった』



最終回、相手にリードされた点数に追いつくことができず、あっけなく終わってしまった野球部の夏。


この目で見たんだ。


泥まみれになるのも厭わず、流れ落ちる汗を拭いもせず、グラウンドを必死で駆け抜ける中原の姿。
彼のお腹の底からの叫び声。
土に滲んでシミになった、悔し涙。



そのとき、わかった。


わたしには、きっと一生理解できない。
中原が野球というスポーツにかける熱意も、覚悟も、努力も。

一生かけたって、私は中原のその気持ちをまるごと理解することはできないということ。



たったひとつ、わかるのは。
中原が自分の全てをそれに懸けているということだけだったけれど、気がつけば私の頬にも涙が伝っていた。




悔しい、悔しい、悔しい。

中原の気持ちがまるで、乗り移ったかのようだった。

自分ではない誰かのことで、こんなにも悔しくて涙が流れたのは初めてだった。