闇にまぎれた蛍










「………はぁ?」


「…前にも言っただろうが。俺には婚約者はいない」


「……じゃあ婚約者ってのは零垣雪の嘘なのか?」







私がそう聞くと、奏は欠伸をしながら頷いた






……なんだ。やっぱそうなんだ







心配して損した






……って、なんで私心配なんかしてんの!?







まぁ……いいや








私は自分の席に座って奏の方を向いた






「じゃあ、その零垣雪からの伝言。放課後会いに行くってさ」


「………」








私がそう伝えると、奏はものすごく嫌~な顔をした






私はまた欠伸をして机に伏せた






「って、おい!寝るな!」







奏は私の体をゆさゆさと揺さぶって、せっかく寝ようとしてたのを遮った





「おい、披露!」


「……五月蠅い。俺は寝る」

パタッ


「って、寝るなぁ!」