冷静に……冷静に……ポーカーフェイス……。
「一ヶ月前から働かせていただいております」
そう言って、にこり、と笑みを作ってみせる。
できるだけ相手を刺激しないように。
怪しまれたら、終わりだ。
ここでのバイトも、わたしの人生も。
どくんどくん、と鼓動が尋常じゃないくらいうるさい音を立てている。
早く何とか言ってほしい。この無言が一番心臓に悪いし。
「ふーん。だからか」
しばらくの沈黙の後、夜神さんは顔色を変えることなくさらりと言い、わたしから視線を逸らして再びソファへと腰を下ろした。
よ、よかった~~……!
すんなり騙されてくれた。これで安心安心っと。
「はい、そうです。今後ともよろしくお願いいたします」
叫び出したい気持ちを抑えてわたしは至って普通にそう言いながら頭を下げて部屋を出た。



