麗しき月は愛に染まる



 やっぱり挨拶したほうがいいんだ。

 まあ、このお店のオーナーだもんね。


 さっきは一瞬すぎて顔すら見えなかったからどんな顔なのかくらい見ておきたいし。



「はい!わかりました!」



 店長にそう返すと、わたしは夜神旭飛がいる部屋の扉を3回ノックした。



「どうぞ」



 中から入室の許可が下り、ゆっくりとドアを開けた。

 視界の先では白に近い髪色をした男の子が一人でソファに座っていた。


 横顔だけしか見えないけど、とんでもなく顔が整っているのはわかる。


 えっと、この人は彫刻かなにかですか……?なんて思いながら小さく口を開いた。



「あの、初めまして!このお店で働かせて頂いているツキです。よろしくお願いします!」



 緊張しているのを悟られないように頭を下げる。