でも、このお店の人たちはいい人ばかりで家にいるよりも居心地がいいからわたしはこの場所が好き。
まあ、ここで働き始めて早1ヶ月。
夜神旭飛っていう人なんて一回も来ていないからこのまま気楽に過ごせたらいいなぁ。
だって、そんな人に会っても情報を聞き出せる自信なんて全くといっていいほどない。
むしろ、何かやらかしてしまいそうだから絶対に来ないでほしい。
そう願っていることなんて、きっと誰も知らない。
さっと制服に着替え、最後に黒いエプロンを腰に巻いてから店内へと出た。
――――カランッカランッ
可愛らしいベルの音が鳴り、鉄製のオシャレな扉が開いて誰かが入ってきたことを知らせてくれた。
誰だろう……?まだ開店前なのに。



