麗しき月は愛に染まる



 きっと、王雅は寂しさや戸惑い、どうしようもない心の感情をぶつけるところがわたしなんだ。



「何か聞いたら教えるから」


「絶対だからな。じゃあちょっと出てくる」



 そう言うと、財布と家の鍵を持って出ていった。


 ごめんね、王雅。
 本当は夜神旭飛と接点ができたんだ。

 でも、それは言えない。
 言わないことにしたから。


 きっと隠しているのがバレたら王雅を傷つけてしまうとわかっていてもわたしは言わない。


 もし、わたしが素直に伝えてしまったらきっと王雅は目の色を変えて上に報告しに行って、上層部に良いように使われるだけ。


 火門会では息子だろうが何だろうが関係ないのだ。

 そんな汚い世界。

 いつかそんな世界から抜け出せる日が来るのかな。
 ……なんてね。


 ───月。

 眠ろうと目を閉じてもなぜだか旭飛に名前を呼ばれた時の優しい声が鼓膜にこびりついていて、胸がザワザワとむずがゆくなってなかなか眠れなかった。


 明日、寝不足になったら旭飛のせいにしよう。