王雅の怒りに触れた方がめんどくさいことを知っているから。
今日もバイト終わって家に帰ると、王雅に部屋へと呼び出されてそのまま今至る。
まったく、学校終わりに働いて疲れて帰ってきたこっちの身にもなってほしいもんだよ。
でもまあ、あの様子だと火門会で何かあったんだと思う。
だって、わたしが部屋に入ってから見た彼の顔は今にも泣き出しそうなくらい悲痛に満ちていたから。
抗争か何かで仲良くしていた人が怪我をした、もしくは……ってとこかな。
今からその人に会いに行くのかもしれない。
この世界では怪我や死は意外と身近なもので、感覚が麻痺している上の人たちは誰が犠牲になろうがどうでもよくて悲しまない人もいる。
つくづく、酷くて嫌な世界だなと思う。
裏社会に染まるしかなかった王雅の目は悲しみに揺れていた。



