よく知らないけど、そんなことを王雅が言っていた気がする。
ベッドの周りに散らばっている下着をかき集めて、適当にTシャツとジーパンを選んで着る。
好きでもない男に抱かれることなんて、もう慣れた。
むしろ、同世代の王雅だったからマシなくらい。
本当ならわたしはきっとお金持ちのオジサマのお家に売られて今頃、最悪な人生を歩んでいたはずだから。
どこかの家に売られる前に火門会のトップの息子である王雅に気に入られたわたしは王雅の遊び相手としてオジサマの元へ売られずに済んだらしい。
まあ、ここでもわたしに人権なんてないからどこで生きていても一緒かもだけど。
もう一度、スマホで時間をチェックしてからカバンにスマホと財布、鍵を詰め込んでわたしは家を出た。



