だって、わたしスパイですし。
そんなやつに会いたいとか頭狂ってるんじゃないですか?って感じ。
絶対に口には出さないけどね。
「お前のポーカーフェイスを壊したいから」
にやり、と不敵に微笑んだ彼にわたしは拒否することなんてできなかった。
好きでポーカーフェイスでいるわけじゃない。
こうしないと生きてこれなかったから体に染みついちゃっただけ。
感情を表に出さずに隠しておく。
それが裏社会で生きていくためには必須だった。
「そんなことのためにスパイを見逃すなんて雷鳴会の幹部は甘いんですね」
本当は膝がガタガタと震えてしまうくらい怖いけど、強がってしまうわたしはバカだ。
可愛い女の子だったらきっと上目遣いで救済を求めるんだろうな。
わたしにはそんなの、無理。



