麗しき月は愛に染まる



「わたしはただ……お金に困ってるので働きたかっただけです。嘘をついていて申し訳ございませんでした」



 まだ、わたしの正体がバレたわけじゃない。

 落ち着いて対応すればなんとかなる。

 そう思っていたのに。



「火門会はそんなに金に困ってるのか」



 わたしの淡い期待は一瞬にして崩れ去った。

 そして、夜神さんはわたしに一枚の写真を見せてきた。



「っ、」



 それはわたしが火門会の本家に帰るところを撮った写真だった。


 言い訳のしようがない。

 もうこの男には全てバレている。

 一体、いつの間に。


 この男は危険だ。


 わたしの本能がそう言っている。



「……目的は、なんだ?」



 感情の一切こもっていない、ただひたすらに温度のない瞳で見つめられてドクンと心臓が嫌な音を立てる。